患者との目標共有
今日,担当している脳卒中後の患者が,初めて床から台を使用せずに立ち上がれた.
なかなか上手くできていなかったので,立てた時は本当に嬉しかったし驚きました.
でも,できたこと以上に驚いたのが,患者本人が嬉しくて泣いていたことでした.
80歳を超える男性.非常に真面目であり,普段は少し気難しい顔をしながら,
一生懸命にリハビリテーションに取り組んでいる方が,顔を崩して泣いていた.
その時,正直に私が感じた一番の感想は,
『床からの立ち上がりができたことを.そこまで嬉しく感じるんだ』でした.
もちろん,できなかった動作ができたことは喜ばしいことです.
でも,私のなかでの床からの台を使用しない立ち上がり動作の達成は,
そこまで優先順位は高くなく,患者と私の間で共有している目標はもっと他のところだ
と感じていたのです.
患者の涙を見た時に私が感じた感想は,患者のなかでの『できないこと』への想いと,
それが『できるようになる』喜びや目標を共有できていなかったからこそ,
湧いてきたものだと思います.
普段,周囲の人に患者ときちんと目標を共有しようと言っているのに,
自分はどこまでそのようなことができているのかを反省した一場面でした.